こしみず式耕畜連携循環システム
- 小清水の大地を小清水由来のもので維持する
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小清水町で農業が始まったのは今から110年ほど前の事。
昔はどの農家にも馬や家畜がいて、えんどう豆などが耕作されるなど、地力も輪作体系も余裕がありました。
高度経済成長期に入ると日本の農業は近代化に向かいました。小清水でも機械化・化学合成資材を使った農業が行われるようになり、生産性は飛躍的に向上しました。しかし、機械化の進んだ作物へ作付体系が変化したり、畑作専業を目指し家畜がいなくなる農家も増えて輪作体系が窮屈になり、堆肥の畑地還元も減ってゆきました。その中にあっても品種改良により生産量は維持拡大されましたが、いつしか新手の土壌病害などで作物の生育や品質に悪影響が出てきていると感じるようになりました。
そこで私たちは地力のある「昔の大地」を取り戻そうと、町行政・普及センターと一体で「土づくり対策推進協議会」を立ちあげました。
地力向上のため堆肥や緑肥の畑地還元の重要性と大豆作付を推進し、先進地もくまなく視察する中、遠く四国から畑に有効な微生物を持ち帰りました。その微生物を家畜の尿の中で空気を送り込みながら培養することで、それまで臭気の問題で利用できなかった家畜の尿を堆肥の熟成や畑地還元に使うことで有効活用できるようになり、全町的に堆肥づくり・土づくりが盛んになりました。私たちはこれを「ゆう水(尿ゆう水)」と名付けました。
ゆう水の誕生を皮切りに、その後も資源利用の研究を続け、澱粉製造時に工場で発生する廃液の臭気抑制やでんぷん粕の飼料化が可能に。微生物の力を借りた副産物の有効活用により、畜産、畑作をつなぐ小清水式の耕畜連携が実現しました。
澱粉工場_製品まで
PDF 934MB澱粉工場_副産物
PDF 734MB「尿ゆう水」
家畜の尿に空気をブクブクと送ることで、土壌に含まれる微生物群を大量培養した無臭・琥珀色の液。
主に堆肥の早期熟成に活用。畑地への直接散布も可能。
「NKゆう水」
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澱粉製造時に発生するじゃがいもの搾り汁に硫酸を加え、臭いの原因となる「タンパク質」を一部除去しpH調整した後、
ビート精製副産物のライムケーキ(有機カルシウム資材)と混合し、有機態の窒素(N)とカリウム(K)を主成分とした高濃度の液肥に生まれ変わったもの。化学肥料の削減と同時に有機質による土壌微生物群の活性化を導く。自然(Nature)をキープ(Keep)との思いを込めて「NKゆう水」と命名。
「でんぷん粕サイレージ」
澱粉製造時に発生するじゃがいもの搾り粕(でんぷん粕)と、搾り汁から抽出した「タンパク質」、小麦製粉副産物で家畜飼料として流通するフスマを混合し、乳酸発酵したもの。小清水町TMRセンターでサイレージ化され、町内畜産農家が飼料として安価で利用。澱粉カスとフスマの混合により、栄養価はコーンサイレージに匹敵しますが、更にたんぱく質を強化したもの。